概算取得費

2010年02月01日(月)07時33分 by 公認会計士・税理士 原 昇平

先日、お客様の社員の方から質問を受けました。

「父から相続した土地を売ろうと思うのですが、税金はどうなるのですか?」

個人が所有する土地や建物を売却した場合には、他の所得とは区分して、譲渡所得として所得税・住民税が課税されることになります。

譲渡所得の金額は売却収入から取得費と譲渡費用を差し引いて計算され、売却した年の1月1日時点で所有期間5年を超えていれば、15%の所得税と5%の住民税が課税されます。

ここで問題となるのが、「取得費」です。

取得費とは不動産の購入代金や購入手数料などの合計額ですが、相続により取得した場合の取得費は以下のうちどれでしょうか?

①父が取得したときの購入代金・購入手数料

②相続時の時価

③相続時の相続税評価額

④相続時の固定資産税評価額

⑤売却時の固定資産税評価額

答えは、①です。

さらに、その不動産が祖父からの相続により父が取得したものであれば、取得費は祖父が取得したときの購入代金・購入手数料ということになります。

そうなると、かなり昔の売買となりますので、いくらで購入したかが全くわからないケースも多いかと思います。

また、先祖伝来の土地などを売却した場合も同様の問題が発生します。

このような場合、譲渡所得は「概算取得費」により計算することになります。

概算取得費=売却収入×5%

なお、実際の取得費が売却収入の5%を下回る場合にも、概算取得費により譲渡所得を計算してもよいことになっています。

ただし、取得費が5%というのは納税者にとって決して有利なものではありません。

わからないと諦める前に、徹底的に資料を探すべきかと思います。

・権利証書類一式から購入代金が把握できないか?

・不動産の登記簿謄本に住宅借入の抵当権の登記がないか?

・預金通帳等に出金の記録が残っていないか?

・手帳や金庫内のメモに記録はないか?

信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)

http://www.shinwa-ac.net/

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