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交際費課税(Ⅰ)

2008年09月01日(月)

以前のコラムで、交際費課税はバカげていると言ったことがありました。

というよりも、私はいつも交際費課税はバカげていると思っています。

ここでいう交際費とは、事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答等の費用です。

つまり、事業を遂行するうえで必要なお付き合い・おもてなし・お礼のための支出のことです。

このような交際費は、企業経営に必要不可欠な費用であるにもかかわらず、その全部または一部が法人の所得計算において損金に算入されません。

<期末資本金1億円以下の法人>

400万円以下の金額:10%が損金不算入

400万円超の金額:全額が損金不算入

<期末資本金1億円超の法人>

全額が損金不算入

このバカげた交際費課税は法人税の計算に影響する制度ですが、法人税法の規定ではなく、租税特別措置法に規定されている時限立法なのです。

ただし、時限立法であるにもかかわらず、延々と期限の延長を繰り返して現在に至っており、あたかも恒久的措置のようになっています。

これに関して、「どうして、法人税法に恒久的規定として織り込まないのか?」という議論がなされることがあります。

一言で言いますと、交際費に対して課税する根拠が弱いので、法人税法に規定することができないのです。

一般に、交際費課税の趣旨は、「ムダ遣い」を節約して自己資本の充実を図ることにあるといわれています。

しかし、それは全く根拠にはなっていません。

私は、以下の理由で交際費課税はバカげていると考えています。

(理由その1)

法人が必要と認めて支出した交際費を「ムダ遣い」と決めつけるべきではない。

(理由その2)

自己資本充実は会社法で規制すべき問題であり、租税法の根拠とすべきではない。

(理由その3)

江戸時代の「寛政の改革」のような消費を抑制する政策は、愚かな政策である。

とは言うものの、租税特別措置法に規定がある以上、法律に従った処理を行わねばならず、税理士としては辛いところです。

信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)

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