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結局何も変わらぬリース税制?

2008年12月08日(月)

リース税制の改正については、以前のコラムに取り上げました。

http://shinwa-ac.sakura.ne.jp/blog/html/20180629_99no8_20180629_20i.html

その中で、中小企業の場合、消費税の処理についてのみ注意が必要と書きました。

つまり、リース契約時に、リース物件にかかる消費税額の全額を控除するという点です。

たとえば、5年リース(60回払い)でリース料総額が1260万円(一回21万円)の場合ですと、リース契約時に一括して60万円(※)の税額控除を行うということです。

※1260万円×(5/105)=60万円

ところが、11月21日に国税庁より、以下の質疑応答事例が公表されました。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/16/23.htm

これを要約しますと、リース取引について賃貸借処理している場合は、リース料の支払時に消費税額相当額を分割して税額控除することを認めるというものです。

上記設例の場合、21万円のリース料の支払の都度、1万円(※)の税額控除することができるのです。

※21万円×(5/105)=1万円

つまり、11月中旬になって初めて、以前と全く何も変わらない処理も容認されたのです。

ということは、平成20年4月期・5月期・6月期・7月期・8月期の法人で、平成20年4月1日以降にリース契約を行った法人は、分割控除できずに一括控除して消費税の申告をしたことになります。

また、一括控除した法人は、来期以降もリース契約が継続している限り、複雑な会計処理が要求されることになります。

国税庁も、例外処理を最終的に認めるのなら、もっと早く検討して公表すべきだったと思います。

ただし、今回の公表では、分割控除という例外処理が容認されただけであり、原則的処理が一括控除であることに変化はありません。

また、リース契約時に全額を控除できる一括控除のほうが、消費税納税の先送り効果が見込めますので、納税者にとって有利になります。

一括控除・分割控除は、リース資産ごとに選択可能ですが、いったん選択した方法は途中で変更することができませんので、リース契約初年度の消費税申告時には慎重に選択することが必要です。

信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)

http://www.shinwa-ac.net/

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