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改正減価償却制度(Ⅱ)

2007年05月14日(月)

今回の減価償却制度の改正は、残存価額・償却可能限度額が廃止され、残存簿価1円まで償却できるようになったことに尽きると思います。

それでは、残存価額・償却可能限度額とはどんなものだったのでしょうか?

通常の有形固定資産の場合、残存価額は取得価額の10%、償却可能限度額は取得価額の5%でした。

簡単な説例を挙げます。

--取得価額100万円、耐用年数5年の機械を定額法で償却--

<改正前>:平成19年3月31日以前の取得資産

1年目の減価償却費 18万円

2年目の減価償却費 18万円  

3年目の減価償却費 18万円

4年目の減価償却費 18万円

5年目の減価償却費 18万円(この時点で残存価額10万円)

6年目の減価償却費 5万円(この時点で償却可能限度額5万円)

これで減価償却はストップし、売却・廃棄しない限り、5万円が帳簿価額として残ります。

<改正後>:平成19年4月1日以降の取得資産

1年目の減価償却費 20万円

2年目の減価償却費 20万円  

3年目の減価償却費 20万円

4年目の減価償却費 20万円

5年目の減価償却費 19万9999円

帳簿には備忘価額として残存簿価1円が残ることになります。

上記の減価償却費の年次推移からも明らかですが、実質的な減価償却の前倒しが図られていますので、事業者にとっては有利な改正ということができます。

また、定率法については特に大きな改正がなされていますので、次回以降で採り上げたいと思います。

なお、国税庁より4月下旬に「減価償却制度の改正に関するQ&A」が公表されています。

http://www.nta.go.jp/category/pamph/houjin/h19/genkaqa.pdf

実務の参考になると思いますが、少しマニアックかもしれません。

大阪市中央区の信和綜合会計事務所

http://www.shinwa-ac.net/

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